山下達郎「シーズンズ・グリーティングス」(asin:B00005HZ7E)

season’s greetings

昨日の「わんわん物語」からのつながりで今回この作品を取り上げています。得意の一人アカペラで、挿入歌の「ベラ・ノッテ」をカヴァーしていますが、選曲の意外性とその仕上がりの素晴らしさに初めて聴いた時はうなりました。厚みのあるコーラスの心地よさといったらありません。アルバムはこの曲に代表される一人アカペラ路線と、オーケストラをバックに歌った路線の2本立てで、達郎のヴォーカルをたっぷり味わいましょうという趣向。いかなる時でも手抜き一切なしの職人気質とはいえ、そのこだわりが裏目に出て、時に息苦しさをも感じてしまうここ数作のオリジナル・アルバムに比べると、このアルバムからはのびのびと歌うことを楽しんでいるような達郎の姿が浮かんできて、私としてはこちらの方が遙かに好ましい。定番中の定番「クリスマス・イブ」は英語ヴァージョンで収録。ところでこの「クリスマス・イブ」って、カラオケで自分が歌ったり、他人が歌っているのを聴いていると案外メロディーに起伏がなくてつまらないんですね。あの達郎の歌いまわしとサウンド、コーラス・ワークが一体となったところに魅力があることに気づかされます。