デルガドス「ユニヴァーサル・オーディオ」

Universal Audio

Universal Audio

ジョン・ピールが「イギリス最高のバンド」と絶賛したデルガドスの新作。「スマイル」を購入する直前までヘヴィー・ローテーションでした。前作「ヘイト」(傑作!)はデイヴ・フリードマンを起用し、マーキュリー・レヴなどにも通ずる、オーケストラやコーラスをふんだんに用いた華麗なウォール・オブ・サウンドを構築。隙のない緻密な音を聴かせていましたが、この作品では一転、ギターを中心としたバンド・サウンド的なアプローチを試みています。基本的にメロディがしっかりした、いい曲が書けるバンドだし、エマとアランの儚い美しさを持つ男女ヴォーカルの魅力は不変なのでどんなことをしても問題なし。声質的にはソフト・ロックのようなサウンドが似合いそうなのですが、そこからは身を遠ざけ、あくまでロック的なロマンティズムを聴かせてくれるのがデルガドス最大の魅力。一見ざっくりと創っているようでも、じっくり聴くと繊細な処理をしていることが分かり、繰り返し聴いても飽きないものになっています。現在のイギリスにも面白いバンドはいるんだ、と教えてくれた彼等に感謝。