第10回セレクト合戦曲目

シタール

どんどん音楽仲間のCD−Rが届いています。まだ数枚しか聴けていないのですが、いつにもまして選んだ人の個性が出ていて面白いです。
さて、ちょっと早いけど私のセレクト曲目を発表しちゃいます。裏テーマは一聴して判るとおり「シタール」ですね(一部使ってない曲もあるけど)。60年代中盤に、バーズやビートルズが嚆矢となってロック界を席巻した「ラーガ・ロック」。流石にアルバム全部これで通した、というのは知りませんが、ポップなバンドも、フォークな人も、R&Bに燃えていた兄貴も一度はシタールを使ってみたという時期があったのです。シタールの響きにはどこか聴くものを別世界に連れていくところがあるように感じます。そんな魅力がいっぱいの12曲。あれやこれや、他にも入れたかったのたくさんあったけど、とりあえずこの形にまとめてみました。これだけ音楽に詳しい人達に聴かせる物に、ビートルズストーンズを選ぶなんて、われながら大胆と思いますね(笑)


1)「Gana」Joe Harriott-John Mayer Double Quintet(1967)


まずは軽くアペリティフ的な曲を。モダン・ジャズとインドのグループの幸福な出会い。チャ−ミングな小曲です。


2)「The Bridge At Knaresoborough Town」Magna Carta(1970)


「休日」セレクトに続いてまたまた登場マグナ・カルタ。彼ららしい穏やかな曲だな〜と思っていたら、あれれ途中からシタールが。でも全体的にはどこか折り目正しいんですよね。


3)「Paint It, Black」The Rolling Stones(1966)


皆持っていると思われる超有名曲(笑)。でもやっぱりこのテーマには外せない。
妖しげな魅力を持つメロディに、ブライアン・ジョーンズが弾くシタールが独特の歪みを与えていてかっこいいです。60年代ストーンズの中でも個人的にかなり上位に来る曲ですね。


4)「Real Life Permanent Dream」Tomorrow(1968)


エススティーヴ・ハウが在籍していたバンドとして有名ですが、それを抜いてもキース・ウェストのサイケでポップな曲作りが冴えるいいバンドですね。もっと評価されていい。


5)「Hole In My Shoe」Traffic(1967)


トラフィックの2ndシングルは、60年代ロックのおいしいところを総取りしたかのような超ポップな名曲。大好きです。間奏のナレーションもお洒落。ちなみに「不思議の国のアリス」の一節だとか。


6)「Once I Had A Sweetheart」Pentangle(1969)


ペンタングルはアコースティック・アンサンブルの極みです。ここでシタールを奏しているのはジョン・レンボーン。よく聴くとバート・ヤンシュもかなりアグレッシヴな演奏をしていますね。


7)「Thirty Days」Strawbs(1971)


長い歴史を誇るストローブスの代表作のひとつ、「魔女の森から」の曲です。この当時はリック・ウェイクマンが在籍していたことでも名高い。この曲はベースのジョン・フォードの手によるものです。「ノルウェイの森」をよりポップにしたような印象。


8)「The Inner Light」The Beatles(1968)


インドを自分に引き寄せるのではなくて、自分をインドに擦り寄らせたジョージ・ハリスン。同じラーガ・ロックでも他のグループとの一番の違いはそこにあるでしょう。この曲を区切りとして、ジョージは自分の個性を磨き上げてきます。


9)「Sunstroke」Chad And Jeremy(1970)


「英国のサーモン&ガーファンクル」と呼ばれたチャド・アンド・ジェレミー。でもシタール使っちゃうんです。他の曲に比べると、ちょっと目立ってないけどね。


10)「Sattva」The Rascals(1968)


なにもラスカルズまでこんなことしなくてもいいよなあ、とつい言いたくなる(笑)。時代の影響はおそろしい。「グルーヴィン」と「フリーダム・スイート」に挟まれてどことなく影が薄いアルバム「ワンス・アポン・ア・ドリーム」から。でも私は好きですよ。


11)「Maker」Hollies(1967)


名作「バタフライ」収録曲。シタールを使っても押さえられないポップな歌心。サビのところでワルツになる瞬間が素晴らしい。何度聴いてもゾクゾクしちゃいます。


12)「Hurdy Gurdy Man」Donovan(1968)


ラストは我が愛するドノヴァン。ここで鳴っているのはシタールじゃなくてタンブーラですが、初めて聴いた時の空間が歪んだような強烈な印象が忘れられないので収録しました。アレンジのアイデアは、おそらくビートルズ「ゲッティング・ベター」からのいただきと思うのですが、異化効果はこっちの方がはるかに上。バックは後のレッド・ツェッペリンの面々。
もともとジミヘンのために作曲したのを本人が歌うように勧められ、ならジミヘンをバックにしようとしたがスケジュールがあわずに断念。それで集められたのがこの面子というウソのようなホントの逸話が残っています。
後半、怒涛のフィルを連発するボンゾ、耳の底にへばりつくようなソロを聴かせるペイジの熱演が光りますね。




もしこのセレクトを聴いてみたいという方がいれば、ご連絡ください