The Blue Nile「High」(ASIN:B0002L57U0)

high

忘れたころにひっそりと新作が届く、「ロック界のビクトル・エリセ」ことブルー・ナイル。なにせ8年ぶりなので、もう、出してくれただけで大満足。聴けばやっぱり素晴らしい。大胆にギターを導入した前作と比べると1st、2ndのサウンドを彷彿とさせるものになっていますが、それらの作品に充満していた濃密な闇の気配はやや後退。ジャケットのような都市的な感触がちょっと感じられます。・・・・といった細かい差異はあっても、彼らの根本的な魅力はいささかも減じていません。カラム・マルコムによって録られた磨きぬかれ、気品にあふれたサウンドが、ポール・ブキャナンのヴォーカルにある苦味と哀感を照らし出すという不変のコンビネーションは、次作が出るのがまた8年後ということになっても、それまで褪せることのない鈍色の輝きを放っております。とはいえまた8年も待つというのは辛いので、次回はもうちょっと早いペースでの新作を期待します。