ヒラリー・ハーン(vn)、サー・コリン・デイヴィス指揮ロンドン交響楽団「エルガー:ヴァイオリン協奏曲、ヴォーン・ウイリアムズ:あげひばり」(ASIN:B0002CHODM)

ハーン

ヴァイオリニスト、ヒラリー・ハーンは1979年生まれだからまだ25歳。しかしディスコグラフィーを見るとバッハに始まって、ベートーヴェンブラームスの協奏曲といった古典中の古典から、ストラヴィンスキー、バーバーといった20世紀の名作に至るまで、幅広い録音を(しかも大曲ばかり)残しているので驚きます。
そんな彼女の新作はエルガーとヴォーン・ウイリアムズのカップリングというブリティッシュ・アルバム。渋いですねえ。これがコリン・デイヴィスによる、きめこまかなサポートを得てすっきりとした美演となっております。エルガーのヴァイオリン協奏曲は、デュ・プレの演奏で有名になったチェロ協奏曲と比べたらまだまだマイナーの部類に入る曲でしょう。しかし確かにちょっととっつきにくい所はありますが、聴くたびに味が出る名曲です。初演がクライスラーに捧げられたせいもあって、技巧的にも高度な曲だそうですが、ハーンは堂々と弾きこなしています。私は特に2楽章の美しさに惹かれましたね。
一方のヴォーン・ウイリアムズは、まさにブリティッシュといった曲。以前紹介したイアン・サウスワース著「200CDブリティッシュ・ロック」で最初に登場したくらいですから、いかに英国の香りに満ちた曲かがうかがえると思います。ここでの演奏も瑞々しくて心地よいもの。イギリスのクラシック音楽はドイツ、フランスに比べるとどうしても知名度が低いのですが、実はなかなかいい曲も多いので、じっくり聴いていこうと思っています。