ローリング・ストーンズ「ラヴ・ユー・ライヴ」(ASIN:B00000APLB)

love you live

暑い時にあえて暑苦しいものを聴く。ストーンズの数あるライブ盤の中でどれかひとつ、といわれたら真っ先にこれを挙げます。バンドの勢いと熱気が最も伝わってくる一枚です。
わさわさしたサンバ・パーカッションからコープランド「庶民のファンファーレ」が鳴り渡り、おもむろに「ホンキー・トンク・ウィメン」のイントロがざっくりと刻まれるオープニングからもうたまらない。適度にラフな演奏がなんともいえずかっこよく、この感じは全体のタイムスケジュールがきちっと決められた80年以後のライヴ盤では望むべくもないところ。アンディ・ウォーホールの手がけたジャケットがこのアルバムの魅力を端的に表現しています。完成度の高さイコール優れた作品、と必ずしもならないのがロックの面白さなんだと改めて思いますね。エル・モガンボのブルース・セッションをはじめ、様々な音楽的要素がドロドロと溶かし込まれている懐の深さ。どこまで意図しているのか判然としないところがこのバンドのすごいところです。ところで判然としないといえば、このアルバムに限ったことではありませんが、ビル・ワイマンのベースって本当に謎ですね。なんて摩訶不思議なノリの感覚を持っている人なんでしょうか。