Paul Simon「The Paul Simon Songbook」(ASIN:B0001LYGVC)

huraibou2004-04-26

1965年、親友と組んで出したアルバムの反響がほとんどないことに失望した一人の男がロンドンに渡り、新たな出発を期して書き溜めていた新曲と過去の曲から2曲を選びレコーディングを行ないました。もちろんその男の名はポール・サイモンです。伴奏は彼自身によるギター1本。録音はモノラルとシンプルこの上ないものですが、歌唱は若若しく張りがあるし、ギターの腕前も堂に入ったもの。曲については改めて述べるまでもありません。本人の意志によるものと思われますが、長年お蔵入りとなっていたのが勿体無い。今回のCD化は快挙といえるでしょう。
以後の話はご存知の通り。サイモンがイギリスで日々を過ごしている間に、本国ではトム・ウィルソンがミュージシャンを集め(ディランのセッションに参加していたメンバーだったそうです)、「サウンド・オブ・サイレンス」にオーヴァーダビング。これがチャートの1位に輝き、サイモンは急遽帰国。再びアート・ガーファンクルとコンビを組み、栄光の道を歩み始めることになるのですが、失意の日々と栄光の日々の狭間に生まれたこの作品は、ポール・サイモンのソングライターの力量を再確認させられる素晴らしいアルバムです。