レッド・ツェッペリン「プレゼンス」(ASIN:B000094PYJ)

プレゼンス

ごくたまにしか聴かないんだけど、聴くとやはりその実力を実感させられるのがツェッペリン。こないだ出たライブ盤もやっぱりさすが、としかいいようがない迫力だったし。
実は背後に「英国の深い森」を抱えている彼らですが、このアルバムではそれは封印して、ダイナミックでハードな曲で攻めています。有名な「アキレス最後の戦い」にはじまり、最後の「ひとりでお茶を」まで一気に聴かせますね。
そして、このアルバムを優れたハード・ロック・アルバムとしてだけでなく、素晴らしいポップ・アートとして成り立たせているのがヒプノシスによるアート・ワークでしょう。ロック・ファンなら誰でも知っている有名なジャケットですが、これまで英国的な陰りのあるデザインが多かったジャケットから一転、アメリカの日常風景のスナップをあしらって、そこにひとつだけ謎の物体、モノリスを配置。それによってもたらされた抜群の異化効果が見事。これだけの操作で、平凡な日常の一コマが、微かな狂気をすらはらんでいるように私には見えます。アルバムというものが、パッケージを含めた「作品」であることを示すお手本のような傑作。