ゴドレイ&クレーム「グッドバイ・ブルー・スカイ」(ASIN:B00005I534)

ポール・バターフィールド&ベター・デイズと並ぶ「ロック界2大ハーモニカ・ジャケ」*1と私が勝手に呼んでいる、88年作。これを最後にコンビを解消したのが惜しまれる痛快なアルバムです。10cc時代に開発したギズモや、あの「アイム・ノット・イン・ラヴ」でのコーラス処理など、実験的音づくりが中心に語られがちな彼等ですが、そのソングライティングの底流にあるのは、50年代R&Bやドゥー・ワップへのオマージュ。そこがプログレは苦手という人にもファンが多い理由でしょう(ザッパもそうですね)。このアルバムはそんな彼等が、その「お里」を全開にした作品なのです。いきなり多重録音によるドゥー・ワップ調のコーラスで幕を開け、そこからは全編に渡ってハーモニカが鳴り響きまくります。フィフティーズ調の曲なのにリズム・ボックスを使ったりと、彼等流のウイットだってもちろんふんだんに味わえるし、歌詞も痛烈に皮肉が効いていたりして、一見カラッとした明るさの中に、隠し味をたっぷり含ませたかのような仕上がりがたまりません。熱心な彼等のファンには高く支持されている作品なのに、ごくたまに雑誌で組まれる彼等の特集でも、さらっと流されがちなのが口惜しい。リマスターで再発されたら、再評価されるでしょうか?

*1:他にもかっこいいハーモニカ・ジャケがあれば教えてください!