坂本龍一「未来派野郎」(ASIN:B00005FDYT)

個人的にはこのアルバムと「音楽図鑑」、「エスペラント」が教授のベスト3。サンプリング音の音色感覚が鋭い。意識的にポップ・ミュージックを志向した前半は吉田美奈子が大活躍。中でも彼女の多重録音コーラスをフィーチャーした「黄土高原」は、教授の中でも1,2を争う名曲になりました。続く「Ballet Mecanique」は元々岡田有希子へ提供した曲のセルフ・カヴァー。後年、中谷美紀にも歌わせていました(歌詞はどれも違う)が、もちろん、作曲者本人のこのヴァージョンが最高。間奏でのノイジーなギターがかっこいい。その後の教授自ら歌っているところも、その下手な歌唱がロボットぽく聞こえて、珍しくいい味となっています。アルバム後半の目玉は、かの香織のオペラチックな歌が響き渡る「大航海」。この異質な組み合わせを力技でまとめあげた強引さこそが今の教授に最も欠けている魅力ではないでしょうか?