DJIVAN GASPARYAN「I WILL NOT BE SAD IN THIS WORLD」

初めてこのアルバムのことを知ったのは、あえなく創刊準備号だけで終わってしまった幻の雑誌「H2」で取り上げられていたから*1。 その後ピーター・バラカンが年間ベスト10に選んでいたことを知って購入を決意しました。
DJIVAN GASPARYANはアルメニアの民族楽器dudukの奏者です。ほとんどの曲がアルメニア民謡をDJIVAN がアレンジしたもの。もう一人奏者の笛がドローンを絶え間なく吹き続け、その上にDJIVANが旋律を奏でていきます。dudukの音色は尺八とバス・フルートの中間にあるような、奏者の息遣いと笛の材質である木の感触を感じさせる、温かく魅力的なもので、旋律は東洋的な節回しを持った、どこか物悲しい美しさがあり、じっと耳を澄まして聴き入っていると心が静かになっていきます。元々83年に現地でリリースされていたのですが、89年にブライアン・イーノが当時主宰していたレーベルOPALから発売して話題になりました。イーノの耳の良さを改めて思わせますね。

*1:細野晴臣を責任編集に迎えた、オールカラーの雑誌。「クワイエット・ヒップ」の特集が読み応えありました