パイザノ&ラフ「アンダー・ザ・ブランケット」(ASIN:B00005UJIL)

パイザノ&ラフ

ギターとホルンという一風変わった組み合わせのデュオによる70年作。プロデュースはハーブ・アルバート。ジャズやボッサの香りがするギターに、ホルンの柔らかい音色が溶け込んで穏やかで心地よい時間が流れていきます。ヴォーカル入りの曲もありますが、少しオフ気味で録音されていて、歌い方もつぶやくようなのでインティメイトな雰囲気がいっそう引き立っています。伸びやかなホルンの旋律が美しいバカラック・ナンバー「恋よ、さようなら」やニルソンの「うわさの男」も好演ですが白眉はロジャニコの「ドリフター」のカヴァーでしょう。ひそやかな歌声とギター、包み込むようなホルン、鼻歌感覚のスキャットに子供のコーラスも加わって織り成される素晴らしい演奏。車のエンジン音のSEも自然に溶け込んでいて、ギミックに聞こえないのです。これ一曲だけでも買う価値あり。他の曲もいいですよ。「コンドルは飛んでいく」はちょっと浮いているような気がしますが。ラストのブルースのソフト・ロック的解釈といえそうなナンバーも面白いです。