ザ・ビートルズ「レット・イット・ビー・・・ネイキッド」(ASIN:B0000DJZA5)

ネイキッド


もちろん輸入盤で購入。もうあちこちで言われていることですが、「裸の」というより、ポールの「俺はこういう感じのにしたかったんだよ〜」という主張が聞こえて来るアルバム。あちこちからいい部分だけをつないでつくっているだけあって、演奏が引き締まっていて、小気味いい感じになっています。オリジナル盤に漂っていた倦怠感がなくなっているのが印象的。ヴォーカルが前に出てきているのが多く、ロック・ナンバーでその効果が発揮されています。特に聴きものは「アイヴ・ガッタ・フィーリング」でこれは文句なしにカッコイイ!「ドント・レット・ミー・ダウン」もこれまで聴いていたのよりアグレッシヴな感触に。また、捨て曲だと思っていた「フォー・ユー・ブルー」が意外といい味を出しています。「アクロス・ザ・ユニヴァース」もいいけど、アンソロジー・ヴァージョンの方が上かな。この向上した音質と元に戻ったピッチのヴォーカルでスペクター・ヴァージョンを聴いてみたい気も。ポールがこだわっていた「ロング・アンド・ワインディング・ロード」はというと、これはスペクター・バージョンの方が好きだなあ。こちらはなんだかデモ・テープみたいに聴こえますね。この「ネイキッド」が出てオリジナルの価値が落ちたかというと、もちろんそんなことはなくてスペクターも、がんばって仕事していたことがよく分かります。オリジナルにしても、「ネイキッド」にしても、元のダメセッションに手を加えて製品として世間にだせるようにしている、という点では変わりありません。ただ今回のは、録音当時のビートルズアメリカン・ルーツ・ロック志向が明確に伝わってくるのは確かです。思っていたよりいい感じでしたね。ただし曲順とジャケットは大いに問題あり。とりあえずジャケットは「レコード・コレクターズ」誌の表紙を切り取って使用しています。