夏木マリ「パロール」(ASIN:B00006ITSI)

パロール


2002年発表。前作から6年ぶりですが、方向性に大きな変化はありません。とにかく夏木マリのアルバムは小西康陽がプロデュースした数々の作品の中でも屈指の逸品。その相性の良さは野宮真貴以上ではないでしょうか。小西のレトリカルな歌詞はどの一編も短編小説のようで、なまはんかな歌い手はたちうちできないのではないかと思わせますが、夏木マリはあだっぽく、アンニュイにそれらの世界を歌い、語り、聴く者を惹きつけずにはいられません。ジャジーで、シャンソン風なバックがこれにはまりすぎるほどはまる。いい意味で「女優の歌」なんですね。聴いているとなぜか、かつて人気があったスターが、今は人知れず寂れた酒場で数人の観客を相手に歌っている姿が目に浮かぶ・・・。徹底してフィクショナルな世界なのに「あなたのいない世界で」の深い喪失感には胸をうたれずにはいられません。

  • 発表当時のインタビュー記事はこちら。

http://www.bounce.com/contents/spot/nm/musee.html


夏木マリはこの週末シアター・コクーンで一人舞台「印象派vol.Ⅶ」を上演します(情報元:chimeさん。サンキュー)。今度の音楽監督は気鋭のピアニスト、中川賢一。誰かレポしてください(笑)。

公式HP http://www.marinatsuki.com/