ラムチョップ「イズ・ア・ウーマン」(ASIN:B00005Y1UG)

らむちょっぷ


ヴォカーリスト兼ソングライターのカート・ワグナーを中心とした、ナッシュビル出身のバンドです。総勢なんと14人の大所帯。しかし、そのことを知らずにこの作品を聴いたらとてもそうは思えないでしょう。ここで聴けるのは音数を絞り込んだ空間的な響きのサウンドだからです。こうして聴き返してみてもメンバーの2/3はスタジオで暇だったんじゃないか?なんて思ったり。とはいえこれはキワモノの音楽ではありません。カート・ワグナーの渋いヴォーカルと穏やかなメロディーが、選びぬかれたシンプルなサウンドと共に紡ぎだされる良質な音楽です。そう、これはバンドというより優れたシンガー・ソングライターのアルバムの感触に近い。派手なことはなにもしていないのに、印象に残るピアノ、歌にそっとよりそうアコースティック・ギター。それらを優しく包み込み、あくまで背景に徹する電子音が、この音楽を懐古趣味ではなく、今に通ずるものとしています。個人的にはアルゼンチンのフアナ・モリーナのアルバムを連想しました。