CARL STONE 「FOUR PIECES」

カールストーン

東京ザヴィヌルバッハに興味を持ったのは、菊地成孔が参加していることも大きな要因ですが、彼等が自動変奏・演奏ソフト「M」を使っていることも理由のひとつです。
私がはじめて「M」を知ったのが1989年に発表されたこのアルバムでした。カール・ストーンは1953年生まれの作曲家。主にロサンゼルスで活動していますが、日本滞在の経験もあるという人です。このアルバムでは「M」やヤマハのDXシンセサイザーサンプラー等を駆使してカットアップ、コラージュを多用した曲を収録しています。親しみやすい素材を用いているので決して難解な音楽ではありません。例えば2曲目「HOP KEN」はムソルグスキーの名曲「展覧会の絵」(ラヴェル編曲によるオーケストラ版)から「プロムナード」と終曲「キエフの大門」が用いられています。続く3曲目「SHING KEE」で素材になっているのはなんと矢野顕子。彼女の歌うシューベルト菩提樹*1の一節が反復され、混沌の中からアッコちゃんの声が次第に浮かび上がってくるのがなかなかスリリングな、ミニマル・ミュージックの佳曲です。アッコちゃんのファンもエレクトロニカ・ファンも皆で仲良く聴きましょう。私より上の世代の方はシンセの音色になつかしさを覚えると思います。オールド・テクノ・ファンもぜひどうぞ。

*1:ピアノは高橋悠治