スパークス『LIL' BEETHOVEN』

去年発売され、評判も良かったのですぐ国内盤が出るかと思ったら、いつまでたっても出そうもないので輸入盤を購入。スパークスは大好きなバンドで、代表作『キモノ・マイ・ハウス』は私のロック・アルバムでオールタイム・ベスト10に入ります。キッチュなセンスとユーモアがいちいちツボにはまるんです。一時長く新作が出ない時期もありましたが、最近は活動が活発になっているのでうれしいですね。

さてこの新作ユーロ・ビート路線かと思いきや、かつての名作『スパーク・ショー』を彷彿とさせるロック・オペラ風の作品で意表をつかれました。だてにタイトルに<ベートーヴェン>と銘打っているわけではなく、クラシカルなストリングス(ロンのキーボードによるものでしょうね)が終始鳴り響き、結構壮大な曲調が多いです。とはいっても決して威風堂々になることなく、どこかキッチュな感触がしっかり残っているのが彼等ならでは。ラッセルの多重録音によるコーラスがいつになく多用されているのもうれしいところ。歌詞も彼等の魅力のひとつですが、今回も「The Rhythm Thief」「Ugly Guys With Beautiful Girls」など興味深いタイトルが多く、きちんとした対訳のついた国内盤が出て欲しいですね。
ジャケットは今回随分シンプルですが、隅に描かれた悪ガキ風ベートーヴェンのイラストがいい味出してる。