マチュー・デュフォー、パスカル・ロジェ『フレンチ・デュオの饗宴−フルートとピアノのための20世紀作品集−』

プーランク:フルート・ソナタマルタン:バラード他

プーランク:フルート・ソナタマルタン:バラード他

シカゴ響の首席フルート奏者として活躍しているマチュー・デュフォーと長年フランス音楽のスペシャリストとして活躍してきたピアニスト、パスカル・ロジェによるフランス音楽の作品集。これだけで聴かずとも成功は約束されているようなものですが、期待に違わぬ素晴らしいアルバムになっています。
デュフォーは若手フルーティストとしては、エマニュエル・パユと双璧を為す存在。もちろん高度なテクニックの持ち主なのですが、技巧をひけらかすことなく、曲の良さを生かすことができる・・・つまりは優れた音楽家である、ということなのですが、このアルバムで初めて彼の演奏に接する、という人にもそのことは明確に伝わってくることでしょう。プーランク全作品の中でも一、二を争う程の傑作である「フルート・ソナタ」はもちろんのこと、ヴィドールやサンカンといった一般的には知名度の低い作曲家の作品も、実に風通しのよい演奏で聴かせてくれます。ロジェのでしゃばらず、引きすぎず、といった伴奏もさすがで、正直、私はロジェの単独演奏ってあまりピンとこないのですが、こうしたアンサンブルの一員として聴くと、そのセンスの良さがはっきりとわかります。
アルバムの最後を締めるのはデュフォー無伴奏ソロによる、ドビュッシー「シランクス」。まさに霊妙としかいいようのない調べで、いつまでもその響きに浸っていたいと思わせるものになっています。