沢田穣治『Silent Movie』

Silent Movie

Silent Movie

先日『カンタ・ジョビン』を取り上げたばかりですが、こちらはソロ・アルバム。沢田の現代音楽の作曲家としての顔を前面に出した室内楽作品集です。邦楽器によるアンサンブル、弦楽のアンサンブル、その他の楽器によるアンサンブルと大きく3つのグループに分けることができますが、グループごとや時系列で曲を並べるのではなく、それらをシャッフルして、短いコラージュを差し挟むことにより、アルバム全体を単なる資料的な“作品集”ではなく、コンセプチュアルな“アルバム”に仕上げたのが趣向です。基本的にはシリアス・ミュージックなのでポップさはあまり無いのですが、この趣向によって多彩な曲調と響きを楽しみ、イマジネーションを膨らませながらアルバム全体を聴くことができます。邦楽器によるピンク・フロイド「吹けよ風、呼べよ嵐」のカヴァーと弦楽四重奏による「点とポーズ、そしてJohn Lとの関係は単純ではありません」といった意味深なタイトルの曲が並ぶ映画とは、果たしてどんなものなのか?