セロニアス・モンク『アローン・イン・サンフランシスコ』

アローン・イン・サンフランシスコ+1

アローン・イン・サンフランシスコ+1

リバーサイド時代のモンクのソロというと、『ヒムセルフ』の方が人気があるのでしょうか。確かにあれは名盤で、自分の弾いたばかりの音に耳を澄ましながらさらに音を探っていく様子がありありと浮かんでくるような、内省的な緊張感につつまれた傑作だと思います。この『アローン・イン・サンフランシスコ』にはそこまでの緊迫した空気は感じられません。けれども、このことが本作の価値を貶めることにはならなくて、ここには自分の放った音と楽しげに戯れるモンクがいて、それが聴く側にも伝わってくるのです。モンク独特のスイング感覚がはっきりと分かるのは『ヒムセルフ』よりもむしろこのアルバムかも。