Ulises Conti『Posters Privados』

Ulises Conti

「ソロ・ピアノの作品を出すということは、例えるならメイクアップもなしに誰かが撮った裸の写真をインターネットで公開するということなんだ」と話しているのが、今回取り上げたウリセス・コンティ。このアルバムはそんな彼の5枚目にして初のピアノ・ソロ・アルバムとなりました。
上の言葉のイメージだと、とても内省的な音楽が紡ぎだされているかのような印象を受けるかもしれませんが、ここで聴かれる音楽はユーモアとエスプリ、そして叙情性をほどよく湛えたものです。「ブダペスト」や「ルクセンブルクのバラ」、「サリンジャー」、「ウエスト・ハリウッド」といった曲名のつけ方も独特ですね。裸のようで、ウイットに富んだ音楽の衣装を軽やかに身に纏っている。でも、それがかえって彼の音楽に対する夢や思いを浮き彫りにしているような気にもさせられます。その解けない謎を解こうとついつい繰り返して聴いてしまうのですね。