ブライアン・フェリー『オリンピア』

オリンピア

オリンピア

前作がボブ・ディランのカヴァー・アルバムだったので、オリジナル作としては久々となる新作。ケイト・モスを起用したジャケットからしロキシー・ミュージック色が濃い仕上がりになっています。冒頭の「ユー・キャン・ダンス」のイントロはもろに『アヴァロン』収録曲「トゥルー・トゥ・ライフ」だし、アルバムにはフィル・マンザネラ、アンディ・マッケイに加えてイーノまで参加しているのですから、ますます「これはロキシーの新作といっていいじゃないか!」と言いたくなるのですが、実際のところ、この3人の演奏が大きな役割をしているとは思えないんですよね(笑)。参加ミュージシャンで重要なのは元プライマル・スクリームのマニ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリー、レディオ・ヘッドのジョニー・グリーンウッドといった若い力でしょう。一見いつもながらのフェリー・サウンドでありながら、これまでにない活力とグルーヴが刻まれているのには、彼らの先鋭的な演奏の貢献が大きいはず。オールド・ファンを喜ばせるイメージを維持しながら、現在のサウンドにもさりげなく対応している充実作。かつてスタンダード・ナンバーのカヴァー集を出したときは、さすがの伊達男も枯れたなあと思ったものですが、ここにきて再び華やいだダンディズムを取り戻してきたのはうれしい限りですね。

YOU CAN DANCE PROMO VIDEO (2010)