11/4 宮川彬良と大阪市音楽Dahhhhn!大江戸初見参討ち入り公演哉@東京芸術劇場大ホール

Perfume公演の熱気も覚めやらぬ中、管の響きをたっぷりと堪能しようと宮川彬良大阪市音楽Dahhhhn!の公演に行ってきました。宮川彬良については説明の必要はないでしょう。舞台音楽、コンサート、TV出演と八面六臂の大活躍中の音楽家です。一方大阪市音楽団(宮川と組むときにはDahhhhn!になる)は既に80年を越える歴史をもつ、伝統ある吹奏楽団ですが東京公演はこれが初めてとのこと。既に何度も共演を重ねていて、強い信頼関係で結ばれている両者がどんな音を聴かせてくれるか楽しみだったのですが、期待を裏切らない音楽の楽しさにあふれたコンサートでした。
二部構成で第1部は短いポップ・ナンバー集。宮川作の華やかなファンファーレ「Fun、Fun、Fantastico!」で華麗に幕を開け、「竹内まりやメドレー」「シャル・ウィ・ダンス?」「私のお気に入り」宮川の父、宮川泰曲「ゲバゲバ90分」が、宮川の軽妙なトークに挟まれて奏でられていきました。宮川サウンドはとにかく色彩感豊かで華やか。1曲の中でジャズやラテンのビートを巧みに変化させ、耳なじみの名曲をフレッシュに聴かせます。今の日本でブラス・サウンドでここまできらびやかなサウンドをつくれる人は他にいないんじゃないかなあ。もちろん、大阪市音楽団の高い技量あってのことで、金管のパワー、木管の繊細さにも感心しましたが、パーカッション部隊のノリの良さが格別。ジャズのビッグ・バンドにも負けないくらいスイングしていました。
休憩を挟んで第2部。ここでスペシャル・ゲストの平原まことが登場しました。数多くのセッションで活躍しているサックス・プレイヤーで、かの平原綾香の父であります。まずは宮川のピアノとのデュオで「ニュー・シネマ・パラダイス」「サッちゃん」を演奏。どちらも心地よかったのですが、特に「ニュー・シネマ・パラダイス」でのソプラノ・サックスの音色の美しさが印象的でした。宮川もMCでその音色を絶賛していましたが、もう聴きほれるしかありません。そして音楽団も加わり、「見上げてごらん夜の星を」を演奏。これには「ファイブ・サックス・コンチェルト」と副題がついていて、平原がバリトン、テナー、アルト、ソプラノ、ソプラニーノの5本のサックスを次々と持ち替えて演奏するという技を見せてくれました。これでローランド・カークみたいに2本同時に吹く、なんてこともやってくれれば文句なしだったのですが(^^;)、見事な演奏には違いありませんでした。あまり贅沢をいうものではありませんね。
いよいよコンサートもクライマックス。大作が続けて演奏されました。まずは宮川泰の代表曲のひとつである「宇宙戦艦ヤマト」をアレンジした組曲宇宙戦艦ヤマト』。雄渾なメロディーが芸術劇場のホールいっぱいに広がっていきました。続いて宮川のオリジナル曲、吹奏楽のためのソナタブラック・ジャック』。題名はもちろん手塚治虫のあれですが、描写音楽や劇伴音楽ではなく、手塚の主要モチーフであった「生命」を宮川流に表現した曲とのこと。実際聴いていると手塚のマンガを思わせるところはなく、広大な草原やどこまでも続く空、大きくうねる海・・・といった大自然の息吹を私は感じました。スケールの大きな名演、名曲だったと思います。そして最後は待ってましたの「マツケンサンバ2」。日本的ラテン・サウンドの到達点を示す名曲だと思います。さっきも書きましたけど、これだけゴージャスなサウンドの音楽をつくれる人って、今はいそうでいないですよ。文字通り老若男女誰もが楽しめる充実したコンサートでした。ザッツ・エンターテイメント!