ラドゥ・ルプー『シューベルト/即興曲集』

シューベルト:4つの即興曲

シューベルト:4つの即興曲

10月の来日記念として10タイトルが再発されたラドゥ・ルプー。そういえば最近彼の新譜が出た、という話は聞いたことがないな・・・と思っていたら、どうやら10年以上前からコンサート活動に専念しており、レコーディングやインタビューは一切拒否しているようです。クラシックのピアニストとして、ひとつの見識だと思いますが、自分のようにディスクを通して音楽に接することが多いリスナーとしては残念。せめてレコーディングくらいは再開して欲しいものですが、こればっかりは本人の意志次第ですからね。
そうなると、残された彼の録音はとても貴重なものになってきます。“千人に一人のリリシスト”とは彼の演奏を語るとき必ずといって良いほど引用される形容ですが、そんな彼の美質が十全に発揮された一枚がこのシューベルト。決して華やかな演奏ではなく、むしろ抑えた印象ですが、その自然な旋律の歌わせ方や弱音の響の美しさは比類ないもの。久しぶりに彼の演奏に接して、今の彼はどんな演奏をするのか実演を観てみたいという気持ちがにわかに高まってきました(^^;)