今月21日には
吉松隆編曲によるオーケストラ版『タルカス』が発売されることもあって、またまた旧譜が紙ジャケでリリースされたELP。今回は『タルカス』より前の作品である1stを取り上げてみました。エマーソンの
バルトーク趣味がいきなり全開している「未開人」に始まり、いかにもレイク的な弾き語り「ラッキー・マン」で終わる全6曲。優れたデビュー・アルバムの多くがそうであるように、このアルバムもそれ自身で高い完成度を誇りながらも、後年の代表作でさらにスケール・アップして展開される音楽的要素を孕んでおり、聴き応えは充分。まだ
シンセサイザーを多用していない分、他の作品に比べて時代性を感じさせない音になっており、これからELPを聴こうとする人にお勧めするにも良いかもしれません。アルバムの白眉は2曲目の「石をとれ」でしょう。レイクの楽曲らしいフォーキーなメロディーをもつ歌と、エマーソンの流麗なピアノ・ソロや、カントリー・テイストも感じられる
アコースティック・ギター・
サウンドによる演奏パートが融合した
サウンド・アプローチはこのアルバムでしか聴くことのできないもので、ELPの“もうひとつの可能性”を示唆するとともに、今の耳で聴いても新鮮に響くものとなっています。