アリス=沙良・オット『ショパン:ワルツ集』

ショパン:ワルツ集

ショパン:ワルツ集

 
1988年生まれの若手ピアニスト、アリス=沙良・オットの2ndアルバム。1stがリストの『超絶技巧練習曲』ですから、かわいいだけではなく、テクニック的にも非常に高いものをもっているのですが、このショパンを聴いていると技巧もさることながら、彼女の本領は繊細な感受性の表現にこそあると思います。華やかな曲の演奏も良いのですが、少し憂いを帯びた曲での自然な哀感の表現に惹かれました。それが端的に表れているのがボーナス・トラックとして収録された遺作のノクターン嬰ハ短調。べとついたところのない、透明なメランコリーを見事に音にしていると思います。全体的に若者らしい瑞々しさと気品が感じられるのが大きな魅力ですね。新譜が楽しみ・・・と思っていたら、年明けにはチャイコフスキーとリストのコンチェルトが出るそうです。しかし私はチャイコフスキーのピアノ協奏曲は大嫌いなのですよ。困ったなあ(^^;)。個人的にはベートーヴェンの中期ソナタシューベルトドビュッシー辺りを聴いてみたいですね。このまま大きく育って欲しいピアニストです。