スティーヴ・ウインウッド『アーク・オブ・ア・ダイヴァー』

Arc of a Diver

Arc of a Diver

これは発売当時聴きまくった、ウインウッドの中でも最も思い入れのあるアルバムです。基本的にバンド・サウンド志向のウインウッドがあえてワンマン・レコーディングに挑んで完成させたこのアルバムは、世界で700万枚以上を売り上げるベスト・セラーとなって、ウインウッドのソロ・アーティストとしての基盤を築き上げました。
全体的にこれまでになくキャッチーなメロディをもつ曲が並び、ベスト・セラーになったことを納得させる充実さを誇っています。シンセ中心でシーケンシャルなフレーズが多用されていても全くテクノ・ポップらしくない、ぬくもりのあるサウンド。ワンマン・レコーディングでもトッド・ラングレンのようなマニアックさをあまり感じさせないのがウインウッドらしいところです。それでも随所に独自の個性が光っていて、例えばヒットした“While You See A Chance”のサックスを模したシンセ・ソロ。メロディーの歌わせ方が実に見事で、最初に聴いたときは生のサックスだとばかり思っていました。これを筆頭にコンパクトでポップな楽曲をそろえた前半に対しやや長めの曲を集めた後半はどちらかというと前作の味わいに近い感じでしょうか。その中では独特の浮遊感がある“Spanish Dancer”が特に印象深い仕上がりです。

PV“While You See A Chance”

どーもよく意味がわからないPV(笑)。ピラミッド・パワーのブームってこのころでしたっけ?