ムーンライダーズ「P.W Babies Paperback」(asin:B000803DD8)

paperback

とりあえず聴いていろいろ感じたことをメモ風に。

  • カオスのまま突っ走ったような前作「Dire Morons TRIBUNE」に比べると1曲1曲のまとまりを感じさせる。
  • 最初と最後の曲はイントロとエンディングと考えると(ペーパーバックの表紙のようなものか)、実質全12曲。メンバーひとり2曲というのが「アニマル・インデックス」を思い出させる。曲の配置の仕方も共通するところが多い。
  • いつになくコーラスを多用している。しかも得意のユニゾンよりもハモルことが多いのが新機軸。
  • サウンドに統一性を与えているのはゲストで参加しているAnoited Mass Chorus、フルートと、ブラス隊。そして岡田のアコ−ディオンと武川の奏でるフラット・マンドリンが効果的。細やかなアンサンブルが美しい。
  • 普通に「いい曲」といわれるパターンを回避して、新しいポップの形を模索する鈴木慶一曲は聴き込む程に味が出る。曲名が実に「男」らしい。
  • 岡田徹の曲でちゃんとヴォーカルが入っているのを久々に聴いた気が・・・。このアルバムの明るい部分の一旦を担っている。やはり優れたメロディー・メーカー。
  • 自分の持ち味を2曲にしっかり振り分けた白井良明。どちらもライブで聴きたい好作品。
  • グループだろうがソロだろうが、俺は俺の曲をやるという姿勢を崩さない鈴木博文。なんだか声にすごみが出てきている。全体の中ではちょっと浮きかけているけどぎりぎりセーフ。
  • いつもならアルバムの中で緊張感をほぐし、ほっとさせる役割果たす武川雅寛の曲だけど、今回は珍しく影の部分を担当している。エスニックなリフレインが耳に残る。
  • なんと今作のポップ面代表はかしぶち哲郎。「リラのホテル」の頃のような心弾む曲と、「最後の晩餐」の頃のようなハードな曲でアルバムのクライマックスを担っている。


大雑把な印象としては、枯れてるようでやんちゃなところが実にムーンライダーズらしいアルバム。しばらく通勤音楽はこればっかりになりそうですね。