彼女が本来の音楽性を遺憾なく発揮した71年の2nd。
ポール・マッカートニーは彼女に様々なタイプの曲を歌わせ、ポップ・シンガーとしての道を歩ませようとしていましたが、もともとフォーク志向だったメリーはその道を選ばず、この2ndで後に夫となるトニー・
ヴィスコンティを迎えてこのシンプルなフォーク・アルバムをつくりあげました。彼女は自分で曲をつくることはしないのですが、いい曲を選んでしっとりと歌い上げています。ラルフ・マクテルの佳品「ストリート・オブ・ロンドン」やキャット・ス
ティーヴンス曲「ザ・ウインド」も優れた仕上がりですが、なんといっても冒頭の
ギャラガー&ライル作品「インターナショナル」が素晴らしい。爪弾かれる
アコースティック・ギターにのせてメリーが物悲しくメロディーを歌う小品ですが、間奏ですっとストリングスが流れ出す瞬間の美しさは筆舌に尽くしがたいものがあります。今回の再発をきっかけに少しでも多くの人に聴かれて欲しい作品ですね。