アネット・ピーコック「アン・アクロバッツ・ハート」
- アーティスト: アネット・ピーコック,シカダ・ストリング・クァルテット
- 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
- 発売日: 2000/10/21
- メディア: CD
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バッキングを務めるのはノルウェーで活躍している、シカーダ・ストリングス・カルテットとアネット本人のピアノだけというシンプルなもの。ストリング・カルテットとの共演をアネットに提案したのはECMの総帥、マンフレット・アイヒャーとのことですが、このアイヒャーのアイデアが見事にこの作品で実を結んでいます。ピアノもストリングスもアネットのヴォーカルも特に技巧を凝らしたり、派手な演出は一切していないのですが、そのことが返ってアネットの曲の特異な美しさを浮き彫りにすることに貢献しました。シンプルでありながら複雑な味わいがあり、陰りをもった色彩が滲み出てきます。抑制された柔らかい表現から零れ落ちてくるほろ苦さと痛みが素晴らしい。そう、これはECMから出ているけど、優れたSSWのアルバムであり、その物哀しい響きにはどこかロバート・ワイアットに通じるものを感じます。もしアネットのトリビュート・アルバムが企画されたら、ぜひこのアルバムの曲をワイアットに歌ってもらいたい。