シャーデー「ラヴ・デラックス」(asin:B00005HRYH)

ラヴ・デラックス

ヌードなのにエロスを感じるどころか、孤独感やストイシズムすら印象に刻まれてしまうジャケット同様、サウンドも切り詰められて極力甘さを抑えたものになった、92年発表の4th。全曲愛について歌われているのだけれど、そこらのラヴ・ソングとは確実に一線を画すものです。どれも人間の本質的な孤独を救うものとしての、根源的な愛について歌った曲ばかり。「No Ordinary Love」なのです。一見シンプルに恋の喜びを歌っているように見える「キス・オブ・ライフ」も、アルバムの中の1曲として捉えると相貌が変わってきます。なめらかな音の背後には深い淋しさが潜み、おだやかな歌声は実は哀しみに浸されている。ここでのシャーデーは限りなくニック・ドレイクに接近しているように感じるときすらあるのです。