松岡正剛「千夜千冊」満願
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya.html
最後は良寛全集。雪に始まり雪に終わる綺麗なまとめ方でした。
淡雪の中にたちたる 三千大千世界(みちあふち)
またその中に 沫雪(あわゆき)ぞ降る
蒸し暑い七夕の夜、この雪のイリュージョンは却って鮮明に脳裏に焼きつきますね。取り上げられた個々の本については、感心させられたり、圧倒させられたり、時にはツッコミを入れたくなったり(「マイルス自叙伝」を取り上げた文章にギル・エヴァンスやテオ・マセロが出てこないなんて!この2人はマイルスを「編集」した両巨頭なのに〜)、いろいろ思うこともありましたが、千冊総体の姿、本と本との「あいだ」をめぐる楽しみなど、まだまだ興味は尽きないものがあるのです。書籍化の計画もあるそうですが、縦横に張り巡らされたリンク構造をどう物質化していくのか、これまた興味津々。
ところで、映画には既に淀川長治・山田宏一・蓮實重彦による「映画千夜一夜」があり、今、書物の世界ではこうして「千夜千冊」が完結したわけですが、誰か音楽で「千夜千枚」のようなことをやってくれないかしら。クラシックからジャズ、ロック、ソウル、テクノ、歌謡曲、民謡、童謡・・・・etc。現存するほとんどのジャンルをひとまたぎして、音楽の快楽を語り尽くさんとした書物を読んでみたいです。