イエス「リレイヤー」(ASIN:B00005LK1R)

・・・と言ったこととは全く関係ない選盤です(笑)。これが最高傑作!とは言い切れないかもしれないけど、2番目や3番目に好きな一枚として挙げる人は多いと思われる、いわばキング・クリムゾンにおける「アイランズ」、もしくはビーチ・ボーイズにおける「フレンズ」的位置にあるアルバムなのではないでしょうか。クリムゾンはともかく、いきなりビーチ・ボーイズが登場してきたのは、かねてから私、ジョン・アンダーソンのハイトーン・ヴォイスとコーラス・ワークが魅力のひとつである、このイエスのことを「プログレ界のビーチ・ボーイズ」と思っているからで、「ペット・サウンズ」以降、ブライアン・ウィルソンが渡英して、挫折することなくアルバムをつくり続けていれば、定めし「こわれもの」や「危機」のような作品が出てきたのではないか・・・とヤクタイもなく空想することがあるんです。


そんなウワゴトはあっちに置いておいて、この「リレイヤー」です。なんといっても新加入のキーボーディスト、パトリック・モラーツの大活躍につきますよね。彼が持ち込んだジャズ・ロック的味わいが、新しい風を吹き込み、「危機」と同じ構成という、ともすればマンネリに陥りかねないところを救っています。グループ・カラーに合ったプレイを行うのは確かにリック・ウェイクマンの方なのですが、「異分子」モラーツがグループに新たな化学変化を起こすところをもっと聴いてみたかった。これ一枚で彼がグループを去ってしまったのは本当に残念。この布陣でもう数枚つくっていたら、グループのその後の歩みも違っていたかも、と思わせる作品。