カヒミ・カリィ「モンタージュ」(ASIN:B0001ZX2M2)

モンタージュ

前作「Trapeziste」ではフリー・ジャズへの接近もみせ、もはや渋谷系という言葉からは百光年くらい離れたところにいる存在感を強烈にアピールした、カヒミ・カリィ。新作はその勢いが更に増した充実作となっています。今度サウンドの特色は、ジョン・フェイヒー的な、弦の震え、きしみを感じさせるギターの音色とエレクトロニクス。一部の曲ではガムランを使用したりしてます。「夏・海・湿度」をテーマにしたカヒミ流トロピカル・ポップとのことですが、前2者はともかく、湿度はあまり感じないクールかつシャープさが印象に残ります。圧巻は2曲目。9分以上の長尺曲ですが、かつてのパートナー、コーネリアスも参加して目くるめくようなスリリングな展開を繰り広げています。圧倒させるだけではなくて、日本語詞の曲も3曲と多く、親しみやすさも演出。先行シングル「NANA」がかつての「マイク・オールウェイズ・ダイアリー」や「キャンディー・マン」などを彷彿とさせるポップ・チューンなのも、既に新たな道を力強く歩いているという自信のなせる技か。新境地を見せつけつつ、ファンサービスも怠らない、押しと引きのバランスが絶妙な傑作。


※試聴はこちらで出来ます。

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