ハナレグミ「日々のあわ」(ASIN:B0000ZP5AU)

ハナレグミ

いい声!決して美声というわけではないけれど、人懐っこくて、それでいて男気も感じさせるところがすごくいいです。遅れてきたファンなので、スーパーバタードッグ時代は全く知らず、富田ラボ「シップビルディング」で初めてその声に接したのですが、
その「シップビルディング」の端正なサウンドよりも(これはこれでとても好きです)、今回のサウンドの方がよりはっきりと彼の声のもつ魅力が伝わっていると思いました。
プロデュースとアレンジは、本人以外にリトル・クリーチャーズ鈴木正人と、ワールド・スタンダード鈴木総一朗が手がけており、それぞれの流儀で追求したアメリカン・グッド・ミュージックのサウンドが楽しめます。「音響派」を通過した感覚でつくられているので、単純なルーツ回帰の音ではなく、しっかりと現代の息吹を感じられるのがうれしい。高田蓮のペダル・スティールは正人・総一朗両者で活躍。鈴木正人のアレンジでは、中島伸行のウーリッツァーやハモンドが印象に残ります。かたや鈴木惣一朗のアレンジでは、青柳拓次のチェロ、田村玄一のスティール・パンなどが、そこはかとなくバーバンク的味わいも醸し出していい感じ。ハナレグミ自身の手によるアレンジでは、クラムボンポラリスのメンバーが参加して、息のあったセッションを聴かせてくれます。「手づくり感」が全体に感じられるのがいいなあ。久しぶりに良質のシンガーソングライターの新譜を聴いたような気がします。