ガース・ハドソン「ザ・シー・トゥ・ザ・ノース」(ASIN:B00005S71T)

ガース・ハドソン

「いつも頭の中で怪しげな音を鳴らしている。あいつはオペラ座の怪人のようにプレイした。ぜんぜん、ロックンロールぽい男じゃなかったけど、バンドにはあっていた。」

ライナーノートより、ロニー・ホウキンスの言葉

21世紀最初の年の瀬に、ガース・ハドソンから届いた一大音楽絵巻。ザ・バンドのアンサンブルを静かに支えていた男の初ソロには、予想を遥かに超えるスケールの大きな音楽が展開されていたのでありました。
元々音楽の素養は深く、ザ・バンドのメンバーに授業料を貰って楽理を教えていたという彼ですから、その作品が高度な音楽性を持っていたとしても何の不思議はありません。ですが、この白い髭をたくわえた、頑固親父的雰囲気をもった男からこんなにも瑞々しく、鮮烈な音楽が迸るとは!。
12分弱にも及ぶ大曲から、グレイトフル・デッドダーク・スター」のカヴァー、そして終曲の滋味あふれるピアノ・ソロに至るまで、ロックのみならず教会音楽やジャズも一飲みにした、頭の中で鳴っている音を全部出しつくしたかのような世界が繰り広げられていきます。各楽器の音色の重ね合わせの見事さは、ギル・エヴァンスフランク・ザッパと比肩しえるのではないでしょうか。早く次のソロも聴きたいです。