カントルーブ編曲「オーヴェルニュの歌」(ASIN:B00005LK3U)他


カントルーブは1897年に生まれて1957年に亡くなったフランスの作曲家です。とはいっても私は彼のオリジナル曲を聴いたことがありません。カントルーブの名は、現在この「オーヴェルニュの歌」の編曲者として有名なのです。オーヴェルニュとは南フランスの地方名。カントルーブの生まれ故郷でもあります。山岳が多く、恵まれた自然の中、古い風習が残っていた地方でその民謡は「オック語」という独自の言葉でうたわれ、そのメロディーにはスペインのアンダルシア、カトリックの宗教音楽、ケルトの影響があるそうです。カントルーブは長年に渡ってその民謡を採取し、それに管弦楽の編曲を施して世に出したのが「オーヴェルニュの歌」というわけです。時代的にハンガリーバルトークコダーイが行っていたこととシンクロしていますね。カントルーブはバルトークのように民謡と当時の作曲技法をハイブリットに融合させ、アグレッシヴな音楽を生み出したのではなく、ドビュッシーの響きの影響を受けた繊細で優美なサウンドで民謡のメロディーをつつみこみました。このような手法に批判的な意見もあると思いますが、ともあれここに、親しみやすくて少しエキゾチックなメロディーを持った麗しい歌曲集が私達に残されたわけです。


私が所有している「オーヴェルニュの歌」のディスクは3種類。

1)歌:ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘロス 演奏:ジャン=ピエール・ジャキヤ指揮 コンセール・ラムルー

2)歌:キリ・テ・カナワ 演奏:ジェフリー・テイト指揮 イギリス室内管弦楽団

3)歌:ドーン・アップショウ 演奏:ケント・ナガノ指揮 リヨン国立歌劇場管弦楽団 (写真)


1)は一番好きな演奏ですね。気品といなたさがいい感じで同居しています。自然の光景が浮かんできますね。
2)はとにかくキリ・テ・カナワの声がエレガント。聞き惚れちゃいますが、ちょっと貫禄がありすぎるかな、という印象です。
3)は可憐さを楽しみたいときにひっぱりだしてきます。

今日は久しぶりにこの3枚をあれこれ聴き比べて楽しんでいました。「バイレロ」はいい曲だなあと改めて実感。