Dr. Buzzard's Original Savannah Band「Dr. Buzzard's Original Savannah Band」

サバンナバンド

ディスコ・ミーツ・スイング・ジャズ。そこにトロピカルなフレーバーを加えてできあがった最高に享楽的なアルバム。フリー・ソウルが盛り上がっていたとき国内盤も出たのにどうやら今は廃盤のよう。もったいないですね。


バンドの中心となるのはストーニー・ブラウダー・ジュニアと、後にキッド・クレオール&ザ・ココナッツで有名となるオーガスト・ダーネルの兄弟コンビ。そこにヴィブラフォン等担当のアンディ・ヘルナンデス、紅一点の歌姫コリィ・デイ、ドラムのミッキー・セヴィラが加わった5人編成です。音楽的なコンセプトは74年にストーニー&オーガスト兄弟の間で編み出されていたそうですが、サヴァンナ・バンドとしてのデビューは76年。時まさにパンク〜ニューウェーヴ前夜ですね。パンク・ムーヴメントを起こした若者に彼等の姿はどう映っていたのでしょうか。それはともかく、このレトロ・フューチャーな混合音楽を形にする上で大いに手腕をふるったのが、アレンジャーのチャーリー・カレロ。アメリカン・ポップスファンの方には説明不要の大物アレンジャーですね。山下達郎はデビュー・アルバム『サーカス・タウン』のNYサイドで彼を起用していました。


こうして生み出された彼等の音楽は今聴いても充分心地よく、踊れます。曲の後半になって「ナイト&デイ」のようなスタンダード・ナンバーが実に上手くとびだしてくるナンバーがあったり、かの渡辺満里奈*1も大好きなまったりトロピカル「サンシャワー」など、聴き所も盛りだくさん。ホーンやストリングスの豊かな響きが心地よいです。

さて、この後も彼等は2枚のオリジナル・アルバムを発表しています。私は2ndの「ミーツ・キング・ベネット」を持っています。こちらはアレンジャーにジミー・ハスケルを起用しており、カワボーイ・ソングがとびだす等のアイデアは変わらないのですが、どこか弾けない印象。もっと盛り上がって欲しいところでいってくれないんですね。ジャケットはおそらくストーニーと思われる人物が落合博満そっくりの風貌だったりと笑わせてくれるのですが、うーんイマイチという出来になっております。それだけに1stのきらびやかなサウンドがより貴重に思えてきます。ぜひ再び国内盤をリマスターで出してほしいですね。

*1:ファンです。もう音楽活動はやらないのでしょうか。もったいない!