鈴木慶一「座頭市 オリジナルサウンドトラック」(ASIN:B0000A8V3B)

座頭市


今年はミュージカル「ドント・トラスト・オーヴァー・サーティ」、年末公開予定のアニメ「東京ゴッドファーザーズ」の音楽と大きいプロジェクトが続く鈴木慶一。そのなかで、最も世間の耳目をひいたのがこの「座頭市」の音楽担当への起用でしょう。映画はこれから公開ですが、「HANA−BI」以降やや精彩を欠く北野映画の刺激となるかどうか。ここに待望のサントラ盤が上梓されました。
映画を見る前と見た後ではかなり印象が変りそうな音楽です。鈴木慶一を追っかけてきた一ファンからみると、『SUZUKI白書』中の「月にハートを返してもらいに」のサウンド・アプローチに近いものを感じます。和楽器的なパーカション・サウンドがきこえる部分にそれは特に顕著であるといえるでしょう。Suzuki K1>>7.5ccにも通ずるといってもいいですが、それ以上にリヴァーブやサウンドの質感から細野晴臣『メディシン・コンピレーション』を連想しました。「慶一流エレクトロニカ」ともよべるこれらの楽曲が実際の画面とどう化学反応を起こすのか。時代劇であるだけに一層興味がつのります。事前に注目を集めているタップ・ダンスのシーンに用いられるであろう「Festivo」は流石の祝祭感。そして前半の楽曲のalternate mixが続く後半に慶一らしいポップさを感じることができます。
慶一はかつてファミコンゲーム「MOTHER」の音楽も手がけたことがありますが、そのサントラ盤はロンドン録音で、ロック・サウンドに少女のヴォーカルをのせたりするなど大胆なアプローチを試みた傑作でした。今回もこのオリジナル・サウンドに手を加えたアルバムを例えばSuzuki K1>>7.5cc名義で出したら面白いかも。あ、それよりムーンライダーズのアルバムを先に出して欲しいですね。12月にツアーがあるそうですが


鈴木慶一のコメントは映画の公式HP(http://office-kitano.co.jp/zatoichi/)の「インフォメーション」のところで読むことができます。Moondogに大きな影響を受けているとわざわざ書いているのはなぜ?

  • ライダーズ系の話題が続いたので、ちがうものを取り上げます。